9号車乗り場

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旅行記やら日記やら

バイトの話

就活終了に伴い、長らく休んでいたバイトを再開した。私は塾講師のアルバイトをしている。時給は中々、業務内容は実質子守りのようなものなので非常に楽だ。今回はこのバイト再開で生徒や講師陣と話す中で感じたことを書いてみる。

 

大学4年ともなると(真面目にやっていればではあるが)週1,2回程度しか大学に行かなくなる。すると、あいにく私には学外で遊びに行くような友人は少ないため、人と会話する機会がなくなるのである。ひどい時などコンビニ店員に「あ、そのままでいいっす」の一言を発しただけで一日を終えたこともあった。そんな日々の中で声を発する(断じて会話ではない)機会になるのは面接であった。しかし針の筵の上でオジサンたちから受ける半ば尋問のような、一言間違えれば人生の地の底へ真っ逆さまのような場面での発声など決して心の休まるものではなかった。会話ができなかったのも、私が就活で心を病んだ一因かもしれない。

さて、バイトの話である。結論から言うと、心底楽しい、気分転換になるものであった。

相手はオジサンではなく小中学生である。場所は勝手知ったるバイト先である。立場も少なくとも私は生徒と対等に接するので同格である。言い間違えても「ああごめん間違ったわ~」と適当にかわしておけばいい。楽なもんだ。緊張を感じない中でする会話ほどリラックスできるものはない。精神が小学生のままなのでやけに生徒からも懐かれるから話していて友人と話しているような気すらしてくる。そんな空気の中でする会話は、やはり面接やらグループワークやらでする「発声」とは格別である。あれは今思えば腹の探り合いのようなものであった。

生徒との会話は、友人との会話とはまた違う楽しさがある。彼らは無邪気で、元気いっぱいである。本心から何も考えていないような発言をしてくる。この年になるとそんな発言をする同年代はいないし、もしいたらきっと煙たがられる存在だろう。また聞く態度も話甲斐がある。中高生なら持つ知識でも彼らにとっては新しい、楽しい知識だから、私が少し豆知識を話すだけでも楽しそうに聞いてくれる。そんなわけで彼らとの交流は貴重である。実際そんなことはないのだが、なんの悩みもなさそうな顔で話し、また話す姿を見せてくれる。アニマルセラピーなるものがあるが、これに似ているようなものだろうか。

ここまで書いてなんだが、私は別段話すのが好きだとか得意だというわけではない。冒頭で書いた通り私には遊びに行くような友人は少ないし、サシで話すことなどに至っては苦痛である。しかし、そんな私とも仲良くしてくれる人はいる。それは生徒であったり友人であったりするわけだが、そんな彼らとの交流を、就活終了とともに取り戻した気持ちである。

7月下旬。大学生活もあと8か月程である。バイトも終わるし友人とも会える機会は減るだろう。今のうちに少しでもたくさん、楽しい会話を積み重ねていきたい。